視察日 2010年8月5日(木)〜8日(日)
V.視察報告 (4−1)
【現状中国事情の実態と動向】所長 首席代表 中条宏志
 2010 年8月6日、長慶寺工場協会開発委員会一行は、中国では「上海万博」で盛り上がっている上海市(2000万人)にある北陸銀行上海駐在員事務所を訪問した。中条さんは、上海に着任されて在任は7年だそうだ。その間、肌で感じた中国の政治・経済・社会の激変化を約1時間にわたり講話していただいた。
 その後、質疑応答約30分にわたり、有意義な意見交換をした。

(内容の一部紹介)
@ 政 治
・ すべてのことが中国共産党1党独裁の存続の為に政策統制がとられる。
例)1.情報統制
    テレビの監視、インターネット検閲、YouTubeの閲覧ができない。
  2.治安の安定
      常に経済成長率8%維持しなければならない。(貧困層まで底上げのため)

A 経 済(金融)
・〜2008年    金融引き締め政策
・ 2008年9月   リーマンショックにより金利下げ(緩和政策)→生産落込み→在庫増える
・ 2009年春〜夏 生産回復・・・ 特に自動車(税制優遇)、電子関連企業
財政刺激策 4兆元(日本円52兆円)⇒内需拡大公共事業(道路・地下鉄)
人民銀行金融融資 9.5兆元(日本円123兆円)⇒地方インフラ・不動産融資・建設融資
・ 2009年 自動車  1300万〜1400万台を売り上げる。
・ 2010年 自動車  国内生産能力2000万台に達する。(自動車業界は鼻息が荒い)

☆中国為替政策
1. 外貨の増加(海外の投資家がドルから人民元に交換が増大)
2. 自然に任せると人民元の価値が上昇
  1ドル≒6.8元が維持できなくなるので中国当局は人民元を売ってドルを買っている。
  中国政府が金利為替を直接コントロールする事態に繋がっている。(国債で吸収する)
3. 人民元の価値の下落→中国政府の介入に各国(米)がクレームを出す。

B社 会
   1.1人っ子政策(1979年) 
     子供が減少
     大学の進学率が年々高まっている。
         ↓
     ワーカー(労働者)不足
     ※中国では、労働者のことを「ワーカー」と呼ぶ

   2.赤信号→自己責任で横断する。青信号→渡る最後の手段。
   3.上海地区の最低賃金
   (2003年頃→500元、2008年→960元、2009年→提示なし、2010年→1120元)
   4.医療保険→医療費に格差がある(金がある人はいい医療、金のない人はそれなりの医療を受ける。)
   5.救急車を呼ぶのは有料(ちなみに日本は無料)
   6.万博による街の景観対策→「上海はいまメンツ(面子)工事中」見える壁だけを直す。
   7.LED照明の利用対応の速さ
     市内の信号機は全部LED化
     看板、高層建築、高速道路のイルミネーション
     宿泊したホテルのデスクスタンド照明器具
     地下鉄電車の照明一部利用などなど・・・

C中国の今後の動き
   1.企業買収の戦略拡大
     狙いは投資目的だけではなく,中国の製品に付加価値を高める(品質の信頼・安全)
     ことも含まれる。  現状・・・「中国ブランドがない。」
   2.中国企業の海外進出奨励 ※中国語で「走出去」ゾウチュチ